『サガサバイバーズ』の WebGL ビルドを、mylil.jp のサブパスに置きました。とりあえず動くというだけの検証ビルドで、コンテンツも UI もまだ全然ですが、URL を踏むとブラウザで起動します。

https://mylil.jp/SAGASURVIVORS/

なぜ今のタイミングで Web に出したか

動機はふたつあって、ひとつは WebGL でビルドが通せるかを試したかったこと。スクエニの SQUARE ENIX GAME CONTEST 2026 の応募要件に「実行ファイル ZIP」があるので、ZIP 提出するならスタンドアロンビルドだろう、とは思っているんですが、その前に Unity プロジェクトを「外に出せる形」にまとめる工程を一度全部通しておきたかった。WebGL は手元のローカル実行とビルド先環境のギャップが一番きつい部類だと聞いていたので、ここを先に踏んでおく、という整理でした。

もうひとつの動機は、進捗を可視化する場が欲しかったこと。これまではローカルで Unity Editor から再生するだけで、世の中のどこにも「触れる場所」がなかった。devlog で文字を書いていても、自分の中で「で、いま何ができるんだっけ?」を測りづらい。URL があると、自分のなかでも進捗のものさしが立つ。あと半年後に振り返ったときに、「あのとき URL を踏んでも何もなかったところから、ここまで来た」と確認できる場所を、未来の自分に対しても用意しておきたかった、という気持ちもあります。

結論:WebGL ビルドを早めに踏んでおいて本当によかった

これは今回ビルドしてみていちばん強く感じたことなので、先に書きます。開発環境では問題なく動いていたものが、ビルドした瞬間に動かなくなる箇所が、想像の 3 倍くらい出てきた。しかもそれぞれが「気づかなければそのまま提出していたかもしれない」種類の事故で、もしこれを SE コンテストの締切直前にやっていたら、笑えなかったと思います。

たとえば、こんなことが起きました。

  • マップが全部、海になった。陸地の生成処理が「開発環境でしか動かない作りかた」で書かれていたのに、それに気づかないままビルドしたら、製品版では一切陸地が置かれずに広大な海だけが残った
  • ダメージ表示のフォントが、ビルドだけ素朴な既定フォントに化けていた。開発環境ではエディタが裏で勝手にフォントを引っ張ってきてくれていたのに、製品版にはその仕組みがなく、用意したつもりのフォントがどこにも届いていなかった
  • 起動した瞬間に画面が落ちた。開発環境ではいちども見たことのない種類のエラーで、ブラウザ版でだけ表面化する内部の例外処理の差だった
  • 主人公が、最初から武器を 2 本同時に持って始まっていた。シーン側とキャラクター側で別々に武器が割り当てられていて、両方が走っていた。開発環境でも本当は起きていたはずなのに、忙しく見ているうちに気づかないまま素通りしていた

共通しているのは、「開発環境では、エディタが裏側で気づかないうちにいろいろ補完してくれていた」のに、それを製品版が一切引き継いでくれない、という落差です。Claude Code に実装してもらうときも、エディタで動かして「動いた、次」で進んでしまっていた。「エディタで動く」は「製品として動く」とは別の状態だ、というのを、頭でわかっていたつもりが本当に体に入ったのは、一度 WebGL に書き出してからでした。

もうひとつ大きかったのが、ビルド工程そのものに罠が散らばっていたこと。普段使っている Unity の拡張パッケージが WebGL ビルドだけ突然エラーを吐く、サーバー側で WebGL ファイルを配るための設定をひとつ間違えるとブラウザに何も出ない、再ビルドのたびに毎回手で直さないといけない箇所がある。初回のビルドは 22 分かかった上に何度も失敗しました。これを締切間際に初めて踏んでいたら、提出にすら間に合わなかった可能性がふつうにあります。

結論として、「動くかどうかわからないけど、ビルドだけ一度通してみる」という工程は、思っていた 5 倍くらいの価値がありました。コアロジックの完成度を上げる作業と、外に出せる形にまとめる作業は、まったく別の難易度カーブを持っている。後者を後回しにしすぎないように、今回はっきり気づけたのが、このタイミングで WebGL を出した一番大きな収穫でした。

今の状態を、正直に書く

SE コンテストの話を上で書いたので、その流れでもう一段正直に並べます。スクエニのコンテストの審査基準は、公式に 「新規性・独創性・娯楽性・完成度」 の 4 つが挙げられています。今のサガサバイバーズは、このどれにも届いていません。完成度が足りないのは「これから作るんだから当然」で呑み込めるとしても、残り 3 つはコアを定めた人間が言葉にできていないと出てこない種類のものなので、「作っていけば自然に出てくる」とは言いにくい。

もっと言うと、「『どんな体験』ができる『どんなジャンルのゲーム』なのか」「なぜそれが新しいのか/面白いのか」、というシンプルな自己紹介を、自分の口でまだ言い切れていません。ヴァンサバライクをベースに、サガシリーズの願いの構造を持ち込んで、非同期 RTA 的な要素を載せたい、というところまでは過去の devlog で書いたとおりなんですが、そこから先の「だから何が新しいのか」「だから何が楽しいのか」が、今の自分の中で整理しきれていない。正直に言えば、迷走しています

なので、今この URL を踏んでくれた人は、完成品の手前というよりも、そもそもゲームの輪郭が定まりきっていない状態を見ていることになります。先にそこも書いておきます。

次にやること

次は、コアループまわりを「とりあえず動く」から「とりあえず遊べる」まで持っていくことを目標にします。ループが遊べる形になったら、また WebGL を差し替えて devlog を書きます。


関連記事: